法曹三者の違い

法曹三者の違い

法曹三者とは、①裁判官、②検察官、③弁護士のことを指します。

裁判官は、民事(家事事件も含む)、行政、刑事事件を担当し、基本的には訴訟を中心としつつ、その他、破産をはじめとした倒産事件や、離婚や相続などの家事事件の調停などを行っています。裁判官は、当事者から出された主張と証拠を踏まえ、判決をはじめとした一定の判断を下すことが主な職責になります。憲法上の身分保障かあることも特色です(憲法78条)。

検察官は、犯罪を捜査し、必要であれば犯人の公訴を提起し、公判活動をし、判決後の執行も担います。刑事事件の一方当事者ではありますが、法律上、「公益の代表者」とされます(検察庁法4条)。ただし、多くの犯罪の捜査は、第一次的捜査機関である警察か行い、検察官が独自に捜査を行うことは少ないです。

弁護士は、訴訟活動のみならず、法的紛争の解決やその予防活動の多くを担います。弁護士の多くは、法律事務所と呼ばれる事務所を自ら設立する、あるいは、法律事務所に所属する形で職務を遂行します。ただし、近時では、企業や行政機関に所属する「組織内弁護士」も増えています。

弁護士には、訴訟活動を中心に行う弁護士もいれば、逆に、訴訟はほとんど行わず、訴訟外の法的交渉や契約書などの法律関係文書の作成、チェックなどの業務を中心に行う弁護士もいます。現在のところ、訴訟、交渉及び法律関係文書、法律意見書の作成など幅広く行っている弁護士が多数のように思われます。このように、弁護士の特色は、多種多様な法的活動をすることができる点にあります。

また弁護士は、立法機関や行政機関から懲戒処分を受けず、あくまで弁護士内部で懲戒処分を行うことを通じて、独立性が確保されています(弁護士法56条以下)。これを「弁護士自治」といいます。ときに弁護士は、立法機関や行政機関と対峙することから、立法機関や行政機関からの独立が確保されているのです。

法曹三者のうち裁判官は、公正中立に第三者として、法的紛争について一定の判断をする立場です。当事者である検察官、当事者の代理人又は弁護人を務める弁護士とは異なります。

検察官と弁護士は、当事者であることは共通していますが、検察官は、あくまで刑事事件の捜査、公判及び判決の執行に特化する立場です。これに対して弁護士は、少なくとも分野に関する活動制限はなく、民事、家事、商事、企業法務、労働、倒産再生、行政、刑事のあらゆる分野の活動を行います。